AGA(男性型脱毛症)に皮脂は関係あるのか

AGAとは男性型脱毛症のことの指し、体内の男性ホルモンが髪にとっての悪玉男性ホルモンに変換されることで髪の毛を脱毛させてしまう症状です。女性でもホルモンバランスが崩れると女性型男性型脱毛症(FAGA)になる可能性があります。日本人の成人男性3人に1人が薄毛で悩んでいると言われていますが、女性だとしても他人事ではありません。

「皮脂量が多いとAGAなのか」という質問を見かけたことがあり、AGAと皮脂との関係性を調べてみました。

皮脂とAGAの関係性について

AGAは、体内にある男性ホルモン(テストステロン)が5α還元酵素と結びついて、より活性力の高いジヒドロテストステロンへと変換するところからスタートします。ジヒドロテストステロンへの変換は、男性ならば誰もが行われている体内の働きです。ジヒドロテストステロンはそのままではAGAの原因にはなりません。頭髪の成長を捜査している毛乳頭細胞の中にあるレセプターとジヒドロテストステロンが結びつき、ジヒドロテストステロンが毛乳頭細胞へ毛髪を脱毛させるようにシグナルを発信します。ジヒドロテストステロンは毛乳頭細胞のレセプターと結びつくと脱毛指令を発信しますが、皮脂腺のレセプターと結びつくことで皮脂の分泌を促進することが分かりました。

AGAの人はジヒドロテストステロンへの変換量もあり、脱毛することで薄毛になります。ジヒドロテストステロンは毛乳頭細胞だけでなく皮脂腺のレセプターにも結合しますので、AGAの人は皮脂量が多いというのは根拠のある話です。

皮脂が原因でAGAになるのか

皮脂が原因で男性型脱毛症であるAGAになると勘違いしている人がいるようですが、AGAによって皮脂量が増えることはあっても、皮脂が原因でAGAになることはないでしょう。

AGAの原因は体内で変換されたジヒドロテストステロンが毛乳頭細胞に脱毛指令を出すことで脱毛してしまうことです。普段頭皮を覆っている大量の太く長い毛髪が、だんだんと産毛のようにか細く短くなってしまい、地肌が見えてしまいます。

AGAに効果的なシャンプーはあるのか

男性型脱毛症を治療する方法は主に内服薬と外用薬による投薬治療です。他にも頭皮に直接薬剤を注入するメソセラピーや、毛髪を移植する植毛手術も広まってきており、専門的に治療しているAGAクリニックなどで受診できます。たしかに、AGAクリニックでは時折シャンプーを併せて処方したりオススメしたりしているようですが、AGAに効果的だからという理由ではありません。AGAクリニックがシャンプーを紹介するかどうかは、頭皮の状態によって異なるようです。あくまでも頭皮環境を整えることが目的であり、シャンプーによってAGAの根本的な解決を図っているわけではないことを理解しましょう。

AGAによって分泌量が増えた皮脂は、放っておくと汚れが溜まりやすいですし酸化することで加齢臭の原因にもなります。そのため、洗浄力の高いシャンプーや、敏感肌であるならば低刺激のアミノ酸系シャンプーをオススメされるでしょう。

頭皮の脂は薄毛と関係あるのか

頭皮には誰にでも、多かれ少なかれ皮脂があります。スカルプシャンプーなどのCMを見ていると、まるで皮脂の量が多いと薄毛になると言わんばかりです。その根拠はどこからくるのか不思議でしたので、調べてみることにしました。

頭皮の皮脂は薄毛の原因になるのか?

ズバリ頭皮の皮脂は、通常であれば薄毛の原因にはなりません。「通常」というのは、1~2日できれば夜に洗髪している場合です。頭皮の潤いを保つための皮脂は、日中の紫外線や汚れから頭皮を守ってくれる役割をしています。夜には新しく皮脂を分泌するので、日中出かけたのであれば、1日の終わりに洗髪するでしょう。夜の内に分泌された新しい皮脂は、日中の紫外線などから頭皮を守り、汚れた皮脂バリアはまた洗い流すのが通常だと思います。

例えば、皮脂の分泌量が過剰になってしまうことで、皮脂と角質の混ざった「角栓」が、毛穴に詰まってしまって髪の毛が健やかに育たないことはあります。健やかに育たない髪の毛は、まっすぐで長く太い毛髪に比べ、縮れたような髪の毛になってしまい、尚且つ細いです。そのような状態であれば、十分な栄養も取れず、脱毛も早まってしまいます。

皮脂の過剰分泌には注意が必要

頭皮の潤いを逃さない役割を持つ皮脂ですが、過剰に分泌されてしまうと、吹き出物ができてしまったり、酸化することで加齢臭の原因にもなったりします。

また、過剰分泌された皮脂が原因で、皮ふの常在菌「マラセチア」が皮脂を栄養にして増殖し、脂漏性皮膚炎を引き起こしてしまう可能性もあるとか。脂漏性皮膚炎はうろこ状のフケ、ひどい場合ですとかさぶたのような状態で頭皮に付着し、かゆみを伴う症状です。フケやかゆみ、皮脂の大量分泌によって頭皮の環境が悪化すると、毛髪が健やかに成長できずに脱毛してしまうこともあります。

男性の場合、男性型脱毛症(AGA)を発症すると、皮脂も多くなると言われています。これは、AGAの原因とも言われている男性ホルモンの一種、ジヒドロテストステロンが皮脂腺のレセプターと結合し、皮脂の分泌を促しているようです。ジヒドロテストステロンは、髪の毛の成長をコントロールしている毛乳頭細胞の中にあるレセプターとも結合し、脱毛するように指令を出します。そのため、男性型脱毛症(AGA)を発症している人は皮脂量が多く、男性ホルモンによる脱毛と合わせて脂漏性皮膚炎にもなってしまいやすいようです。

当然のことですが女性に比べて男性の方が男性ホルモンが多いため、男性型脱毛症(AGA)になった場合、脂漏性皮膚炎も引き起こしやすく、脱毛もしやすい環境になっているのでしょう。

皮脂汚れや抜け毛にオススメのシャンプーの種類

脂漏性皮膚炎に効果的だとか、AGA(男性型脱毛症)を改善できるというシャンプーはありません。シャンプーの成分にそういった効果のあるものが含まれていないからです。しかし、市販で販売しているようなシャンプーよりも、頭皮の環境を整えるシャンプーの方が、フケやかゆみを軽減してくれる可能性があります。

市販で販売しているシャンプーは、髪の毛を清潔に保つ目的で製造されており、香りや手触りを重視しています。一方スカルプシャンプーは、頭皮の環境を第一に考えて設計されている、頭皮のためのシャンプーです。

シャンプーにもアミノ酸シャンプーや石けんシャンプーなどの種類がいくつかありますが、皮脂汚れに最適なのは石けん素地のシャンプーでしょう。石けん系のシャンプーは洗浄力が高く、皮脂汚れを洗浄するのに良く、皮膚科の医師もオススメする程です。

薄毛対策にオススメのシャンプーの種類

薄毛で悩む人のためのシャンプーは、その原因が何かにもよります。先に言ったように、皮脂の汚れなどで頭皮の環境が悪い人であれば、石けん系のシャンプーでしっかりと洗浄した方が頭皮環境の改善に繋がるでしょう。

ただし石鹸素地のシャンプーには、十分に濯がないと頭皮に石けんが残りしやすいことや、アミノ酸系のシャンプーに比べて泡立ちが良くない点がデメリットとして挙げられます。石けんシャンプーを使用する場合は、すすぎを十分行いましょう。

逆に乾燥による皮脂の過剰分泌なのであれば、アミノ酸系シャンプーで肌への刺激を少なくするべきです。お風呂から上がった時にフケが髪に付着しているようであれば乾燥しているので、アミノ酸シャンプーがおすすめです。

しかしアミノ酸系シャンプーは高価な物で、お金を払ってでも紹介してほしいという人がたくさんいる点には注意してください。最近では「薄毛にはアミノ酸のシャンプーが良い」とされてきていますが、調べてみた所「弱酸性だから」「肌に優しいから」というのが主な理由でした。アミノ酸系はその名の通り弱酸性で低刺激、肌に優しいと言われています。洗浄力が弱いのでしっとりとした洗い上がりになりますが、皮脂汚れによる薄毛で悩む人にとっては洗浄力が弱いことはあまりメリットになりません。

頭皮の皮脂の役割について

スカルプシャンプーのCMや男性向けのスキンケア商品の広告を見ると、「皮脂を根こそぎ除去!」や「これで洗うことで何もついていない状態に!」と言った内容が目につきます。また女性のスキンケア商品でも「皮脂汚れをなくして化粧崩れなし」や「皮脂を落として潤いあるお肌へ」などといううたい文句もありますね。何かと悪者にされがちな皮脂ですが、本当にただ単に悪いものなのでしょうか?

頭皮における皮脂の役割

そもそも皮脂とは毛穴の中にある皮脂腺という器官から分泌される液体のことで、肌の潤いを保つ役割をしています。おおむね思春期後半から20代で分泌量のピークを迎え、その後徐々に減少していくと言われているのです。男女の差はあれど、一番分泌量が多いのは頭皮で、次いで顔の鼻や額(いわゆるTゾーン)が多いです。

頭皮の皮脂は、夜寝ている間に分泌すると言われており、日中の紫外線や、外気の汚れから頭皮を守る役割があります。

放置するとどうなるか

日中の外気の紫外線や汚れから守ってくれた皮脂は、夜になればすっかりその役目を終えている状態です。一日の終わりに頭皮の汚れを放置してしまうと、古い皮脂と新しく分泌された皮脂が混ざり、毛髪の正常な成長の妨げやにおいの原因にもなってしまいます。

新しい皮脂がきちんと機能するためにも、一日の終わりには頭皮を綺麗に洗うようにしましょう。

皮脂を取りすぎるとどうなるか

では逆に、皮脂を取りすぎてしまうとどうなるでしょうか。スキンケアと同様、皮脂を取りすぎてしまうということは、紫外線や汚れなどから頭皮を守ってくれるものがなくなってしまいますので、その分ダメージを受けやすい状況です。頭皮でもそれは同じことが言えます。

また、潤いが足りていない状態ですので、フケやかゆみ原因にも。体験談で言うと、特に秋から冬にかけての乾燥している季節では、お風呂につからずにシャワーを浴びただけでも、潤いが足りていないことでフケが出てしまいました。

さらには「潤いが足りていない」と身体が勘違いして、余計に皮脂の分泌量を増やす行動をとってしまい、ベタついた頭皮の状態になるのです。

ちなみに、「朝シャン」という言葉を聞いたことがないという人はいないでしょう。広く知れ渡っているこの言葉ですが、頭皮の環境を整えたいのであればオススメは致しません。前述したとおり、頭皮の皮脂は夜の眠っている間に分泌されます。その新しい皮脂をわざわざ洗い流してしまうので、気分は爽快になれど、頭皮は皮脂というバリアがない状態で外気に晒されてしまうのです。

皮脂のメリット・デメリット

皮脂の役割は水分の蒸発を防ぎ、肌の潤いを保つことです。メリットとしては艶のあるみずみずしい肌を保つことができます。デメリットとしてはテカテカしてしまうと脂っぽい見た目になってしまい、清潔感が損なわれます。また分泌量が増えてしまうことで肌のトラブルも引き起こしてしまいます。

皮脂にはきちんと肌を外気から守る役割を持っているので、「皮脂を根こそぎ洗い流す!」といった商品は、些か乱暴な商品と言えるでしょう。きちんと保湿ができるように、古い皮脂を洗い流し、頭皮の環境を整えることで、髪の毛が健やかに育ちやすい環境を作ることができます。

薄毛に効果的なスカルプシャンプーとは

スカルプシャンプーというと、どうしても薄毛になった男性が使うイメージがぬぐい切れません。しかし女性用のスカルプシャンプーも数多くなってきており、薬局でも見かけるようになりました。しかし一般的なアミノ酸系のシャンプーと比べると、どうしても手に取りずらい心境なのは、今も昔も変わらないと言っていいでしょう。

薄毛を予防するためにスカルプシャンプーを使い始めることは、自分自身20代後半から始めていました。髪の毛が長くなればなるほど、抜け毛の量が気になり、それに伴って髪の分け目が気になり始めたからです。

スカルプシャンプーが薄毛に効果的の真意について

「スカルプシャンプーが薄毛に効果的」と、言葉の上辺だけが独り歩きしているような気がします。「スカルプシャンプーに薄毛に有効な成分が含まれていて、スカルプシャンプーを使用すると薄毛が治る」という誤った知識の元、高いスカルプシャンプーを購入してしまう人もいらっしゃるとか。

そもそも毛髪が成長する際に、毛穴に汚れが詰まっていれば、その汚れが育毛の妨げになってしまい、真っ直ぐな毛髪には育ちません。スカルプシャンプーは頭皮の汚れを除去し、毛髪を正常に成長できるよう環境を整えてくれるものです。スカルプシャンプー事態に発毛成分や育毛成分は含まれていませんし、仮に含まれていたとしても、ものの数分で洗い流してしまうため意味がありません。

今までは女性用のスカルプシャンプーについての口コミを投稿してきましたが、スカルプシャンプーと市販で販売されているようなシャンプーとの違いについて確認しましょう。

一般的なシャンプーとスカルプシャンプーの違い

市販で売っているシャンプーとスカルプシャンプーの違いは、第一に洗い上がりです。男性用のスカルプシャンプーはさっぱりとした洗い上がりを体感できるために、メントールが配合されていることが多いので、頭皮の爽快感が段違いです。初めて男性用スカルプシャンプーを使った時は頭皮がヒリヒリすると感じたくらいでした。

市販で販売されているシャンプーはそういった爽快感はないので、一度メントール配合のシャンプーを試してみると、洗い残しがないか不安になると思います。

第二に髪の毛の指通りです。スカルプシャンプーは頭皮の皮脂をごっそり洗い流すものが多く、必要な油分まで洗い落としてしまいます。頭皮も顔の一部ですので、肌に(この場合頭皮に)必要な油分がなくなってしまうと、潤いが足りていないと感じて皮脂を余分に分泌してしまうので、余計に頭皮がべたついてしまうのです。頭皮の油分だけではなく、髪の毛の油分まで洗い流してしまうのが洗浄力の強いスカルプシャンプーで、これで洗うと髪の毛がゴワゴワしてしまいます。ひどいときは洗髪時に指が全く通らず、逆に頭皮が洗いづらいものもあるほどでした。

第三に価格帯についてお話ししましょう。市販で販売されているシャンプーは、大量生産するために低コストの成分を配合しているケースがほとんどなので、どこに行っても手に入る利点があります。

そもそも、スカルプシャンプーと市販のシャンプーでは使用目的が異なるので、洗い上がりなどの使い心地に差が出るのは普通のことです。

スカルプシャンプーの目的

スカルプシャンプーのスカルプとは「頭皮」のことを指しており、その名の通り頭皮を洗浄する目的のシャンプーのことを言います。特定の成分が配合されているからスカルプシャンプーである、と言った明確な決まりがあるわけではありません。

スカルプシャンプーは頭皮を清潔に保つことで毛髪が育ちやすい環境を整えます。頭皮が清潔になることで、妨げになる古い皮脂や汚れを除去し、育毛剤や発毛剤の浸透率を上げてくれるのです。

一般的なシャンプーの目的

「一般的な」と言っていますが、この場合スカルプシャンプー以外のシャンプーのことを指していおり、その中にはアミノ酸系や石けん系、アルコール系などが含まれています。混在しがちですが、スカルプシャンプーにはアミノ酸系のシャンプーもあれば、石けん素地のシャンプーもありますので、特定の成分が含まれているからスカルプシャンプーというわけではありません。

市販のシャンプーの目的としては、髪の毛を清潔に保つことと、匂い付けだと言えるでしょう。頭皮を洗うことと髪の毛を洗うことは近いようで少し異なります。頭皮シャンプーは前述したとおり頭皮の古い皮脂や汚れを洗い流して清潔に保つことです。市販のシャンプーは髪の毛を清潔に保つことで、ハリやコシ、指通りなどを良くすることが目的と言えます。

髪の毛にハリやコシを与えて綺麗な毛髪を育てたいのなら市販のシャンプーがおすすめです。抜け毛が気になり始めた人や、フケやかゆみなどが気になる人は、一度スカルプシャンプーを試してみるといいかもしれませんね。